A Rose Prison ―4―桃花には個室が用意された。『うはぁ・・。こんなの見た事無い。』 桃花は暫し、部屋の真ん中で立ちつくした。 白を基調とした個室には、天蓋付きのベッド。 やはりアンティークの家具が据え付けられており、レースのカーテンが揺れる。 窓からバルコニーに出られるようになっており、庭を眺める事が出来た。 ボフッとフワフワのベッドへと身を沈める。 『・・・・・・・ん~・・・。』 気持ち良い。 だけど落ち着かない。 体を起こし、矛盾している事に考えを巡らす。 気分転換にバルコニーに出てみると、相変わらず霧が濃く、視界を遮っているが 庭に咲いている薔薇達は、その赤い色を誇張していた。 赤 赤 赤 赤・・・・全て赤い薔薇である。 「・・・ちょっとね。」 どれ一つ取ってみても寸分違わぬ美しい薔薇は、手入れの行き届いている様を 表している―――――――が、自分の好みではない。 絶えず流れ込んでくる薔薇の香りが、かえって神経を尖らせているように思える。 『みんなのトコ、行こう・・。』 桃花は部屋を後にした。 「八戒ちゃん~・・悟空ちゃ~ん。」 八戒と悟空は二人で一部屋を宛われていた。 その部屋は、桃花に与えられていた個室の約2倍――桃花の個室でさえ、 かなりの広さなのだが――、一家6人ぐらい住めそうな広さである。 「あぁ、桃花。今、呼びに行こうと思ったんですよ。」 お茶の準備をしながら八戒が言った。 「スッゲーんだぜ、桃花っ!部屋には、お茶とかお菓子とか 用意されてんだぜっ!」悟空が目を輝かしながら言った。 部屋にはワゴンが置いてあり、自由に食べたり飲んだり出来るようになっている。 「へー・・ホント、スゴイよねぇ?」 遠慮がちに椅子へ座る。 「うんうん!トイレや風呂だって付いてるし・・便利だよなぁ。」 大きいテーブルの為、悟空が椅子を移動させながら寄ってくる。 「かなりの資産家なんでしょうね。・・・はい、お茶がはいりましたよ。」 カチャッと軽い音を立てて、桃花の目の前に出されたのは・・・ 「ローズ・ティです。」 「ローズ・・・薔薇のお茶ってコト・・か。」 思わず項垂れた。 ジャンル別一覧
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